初めての子育ては、まさに分からないことだらけ。
「寝返りしないけどうちの子だけ?」「ずり這いが前に進まないのはなんでだろう?」「ハイハイって、どうやったらできるようになるの?」「つかまり立ちしちゃったけど、このままで大丈夫?」
育児書通りにはいかない。
そして、ついつい「ほかの子と比べて、うちの子の発達はゆっくりなのかな…」と不安になってしまうことも・・
その中でもよくいただく赤ちゃんの成長に大切な「体幹」についてお伝えします。
赤ちゃんが運動不足!?体幹トレーニングの第一歩
赤ちゃんの体幹を育てる方法をご説明しますね!
<その便利さが落とし穴に?現代の子育て環境
私たちの生活は、昔に比べて格段に便利で快適になりました。ボタンひとつで家電が動き、移動は車や電動自転車でスイスイ。家の中も畳からフローリングへ。バリアフリー化が進み、つまずく心配も減りました。
一見、子育てしやすい環境に思えますが、実はこの『便利さ』が、赤ちゃんの運動能力を育む大切な時間を奪っている可能性があるのです。
かつての日本の住環境といえば、畳が敷かれた部屋で、赤ちゃんは自由に寝返りを打ち、ハイハイで家中を探検していました。段差を乗り越えたり、柱につかまって立ち上がったりと、生活そのものが運動の連続だったのです。しかし、現代の住宅事情は大きく変化し、狭小スペース化やバリアフリー化が進み、赤ちゃんが思い切り体を動かせる広い空間は減少傾向にあります。

また、ベビーカーに抱っこ紐、長時間座れるチェア…今の育児グッズって本当に便利ですよね。寝たまま移動できたり、抱っこで楽々お出かけできたりと、ママの負担をグッと減らしてくれます。

でも、その一方で、もしかしたら、赤ちゃんが「自分で動く」機会を奪ってしまっている可能性も否定できません。

『体幹の弱い子ども』が増えている背景
そしてその結果が、今、保育の現場の問題として表面化してきています。近年、『体幹の弱い子ども』が増えている、という現状が見られます。「姿勢が悪い」「疲れやすい」「転んでも手が出ない」「椅子に座っていられない」といった特徴を持つ子どもたちは、自分の体を思い通りに動かすことが苦手な傾向にあります。
その原因の一つとして考えられるのが、「赤ちゃんの運動不足」です。子育て環境の変化により、本来であれば、歩き出すまでに、寝返り、ずりばい、ハイハイといった運動を繰り返し経験し、体幹を強くしていくはずが、これらの運動を十分に経験しないまま、立ち上がって歩き始める赤ちゃんも少なくありません。本来、歩くために必要な土台である「体幹」が十分に育たないまま、歩行が始まってしまうのです。
ではどういった方法で運動不足を解消していくとよいのでしょうか?
『床タイム』を意識することで、いますぐ体幹トレーニング!
まず赤ちゃんにとって、体を動かすことはとても重要です。寝返りやハイハイだけでなく、遊んでいるように見える仰向けやうつ伏せ姿勢で手足をバタバタさせるのも立派な運動。重力に逆らい、自分の体を支える力を養う大切な運動です。これらの運動を通じて、体幹は少しずつ鍛えられていきます。

そして赤ちゃんにとってさらに良い、今すぐできる簡単な『体幹トレーニング』があります。それは、赤ちゃんに『床で過ごす時間』をたっぷり作ってあげること。抱っこ紐やバウンサーにいる時間を少し減らして、安全な床の上で赤ちゃんを自由に過ごさせてあげましょう。
たったこれだけ?ともしかすると物足りなく感じるかもしれませんが、実は1日に数回、5分ずつでもいいので、積極的に床に寝かせてみるだけでも、効果的なんです。近くにママがいて声をかけてあげるだけでも、赤ちゃんは安心して体を動かし始めます。お気に入りのオモチャを手を伸ばして届くところに置いてあげると、さらに興味を持って動いてくれるかもしれません。
たったこれだけと感じることも、日々の積み重ねとなり、赤ちゃんの体幹を育む大切な一歩になりますよ。

次回のコラムでは、知って得する!赤ちゃんの体幹育てのメリットをご紹介しますね。どうぞお楽しみに。

落田 順子/Junko Ochida
近年は、保育現場への普及にも尽力し、保育園や保育士会での研修のほか、保育士養成大学での学生向けワークショップを通じて保育の質の向上に寄与する。
2022年からは、阪神梅田本店「ママそら」講師として「0歳からの体幹育て講座」を担当。2025年、共著「子どもたちの未来は、関わる大人で変わる~MANA部屋プロたちからのススメvol.1」を共著で出版。