生活費や教育費など、シングルマザーが直面する経済的な課題に対して、実は様々な公的支援制度が用意されています。しかし、これらの制度は複雑で分かりにくく、「どんな支援が受けられるのか分からない」「調べるのが大変」といった声をよく耳にします。
本コラムでは、シングルマザーのお金事情について全5回に分けてお伝えしています。第4回目となる今回は、活用できる公的支援制度について詳しくご説明します。
※以下は2024年11月現在の情報です。
目次
知っておきたい主な支援制度
シングルマザーを支援するための制度は、国と東京都それぞれが設けています。中でも重要なのが、毎月の生活を支える手当制度です。支給額や対象期間は制度によって異なりますが、複数の手当を組み合わせることで、より手厚い支援を受けることができます。
児童扶養手当:ひとり親家庭の基本となる支援制度
児童扶養手当は、ひとり親家庭の生活の安定と自立を支援するための制度です。子どもが18歳に達する日以降の最初の3月31日まで受給することができます。
- 手当月額:子ども1人の場合、最大44,140円
- 2人目:最大10,420円を加算
- 3人目以降:1人につき最大6,250円を加算
ただし、所得制限があり、受給者の前年の所得に応じて支給額が変動します。
児童手当:全ての子育て世帯が対象
児童手当は、ひとり親に限らず全ての子育て世帯を対象とした制度です。子どもの年齢によって支給額が異なります。
- 3歳未満:月額15,000円
- 3歳以上小学校修了前:月額10,000円(第3子以降は15,000円)
- 中学生:月額10,000円
所得制限を超える場合は、一律月額5,000円となります。
児童育成手当:東京都独自の支援制度
東京都では、独自の支援制度として児童育成手当を設けています。
- 支給額:子ども1人につき月額13,500円
- 対象:18歳に達する日以降の最初の3月31日まで
所得制限あり(詳細は区市町村の窓口で確認)
医療費の負担を軽減する制度
子育て中は、予期せぬ病気やケガで医療機関を受診することも少なくありません。医療費の負担を軽減する制度を知っておくことで、突然の出費に備えることができます。
ひとり親家庭等医療費助成制度
子どもの急な病気やケガの際の医療費負担を軽減する制度です。
- 対象:ひとり親家庭の親と子ども
- 内容:医療機関での自己負担分を助成
- 適用:入院・通院ともに対象
- 期間:子どもが18歳に達する日以降の最初の3月31日まで
住宅支援に関する制度
住居費は生活費の中でも大きな割合を占めます。特に都内では家賃相場が高いため、住宅支援制度を活用することで、大きな負担軽減につながります。東京都では、ひとり親家庭向けの様々な住宅支援制度を用意しています。
都営住宅の優先入居制度
ひとり親世帯は、都営住宅の入居者募集において優先的な取り扱いを受けることができます。
- 一般募集における優遇制度(ポイント方式)
- 家族向け住宅の定期募集における優先申込区分の設定
- 収入に応じた住宅使用料(家賃)の減額制度
JKK東京(東京都住宅供給公社)の支援
中堅所得者向けの良質な公共住宅を提供しています。
- 子育て世帯への優先入居制度
- ひとり親世帯向けの専用募集の実施
- 一般の賃貸住宅より比較的安価な家賃設定
民間賃貸住宅への入居支援
東京都居住支援協議会による支援制度です。
- 住宅確保要配慮者専用住宅の紹介
- 居住支援コーディネーターによる相談サービス
- 賃貸住宅情報の提供
就労支援に関する制度
ひとり親家庭の経済的自立を支援するため、国は資格取得やスキルアップを後押しする制度を設けています。これらの制度を活用することで、より安定した収入につながる資格を取得したり、キャリアアップのための学びを進めたりすることができます。
ひとり親家庭自立支援教育訓練給付金
より良い条件での就職や転職を目指す、ひとり親家庭の父または母を対象とした給付金制度です。
- 給付内容:教育訓練講座の受講料の60%
- 上限額:20万円または40万円×修学年数(最大4年)
- 要件:児童扶養手当を受給しているか、同様の所得水準にあること
ひとり親家庭高等職業訓練促進給付金
看護師や保育士など、取得に時間がかかる資格の取得を目指すひとり親を支援する制度です。
- 対象資格:看護師、保育士、介護福祉士、理学療法士など
- 給付額:
・市民税非課税世帯:月額10万円
・市民税課税世帯:月額7万500円
※訓練を受けている期間の最後の1年間は月額4万円を加算
・訓練修了後、5万円を支給(住民税課税世帯は25,000円) - 支給期間:上限4年
支援制度を活用するためのポイント
公的支援制度は、申請のタイミングや必要書類の準備が重要です。また、定期的に制度の内容が更新されることもあります。ここでは、支援制度を最大限活用するためのポイントをご紹介します。
早めの情報収集をしよう
- 区市町村の窓口で相談
- インターネットで最新情報をチェック
- 「シングルママ・シングルパパくらし応援ナビ Tokyo」の活用
申請のタイミング
- 多くの制度は申請した月からの支給
- 遡って受給できない場合が多い
- 資格を得たらすぐに手続きを行う
必要書類の準備 (一例)
- 戸籍謄本
- 所得証明書
- 住民票
- 振込先の通帳コピー
支援制度を賢く活用するために
公的支援制度は、あなたとお子さんの生活を支えるための大切な制度です。金額的には決して十分とは言えないかもしれませんが、複数の制度を組み合わせることで、より効果的な支援を受けることができます。
特に東京都は独自の支援制度も充実しています。お住まいの市区町村の窓口に相談し、利用可能な制度を把握しておくことをお勧めします。また、所得制限や受給要件は定期的に見直されることがありますので、最新の情報をチェックすることも大切です。
これらの支援制度をうまく活用することで、より安定した生活基盤を築くことができます。ただし、支援制度はあくまでも生活の土台。その上で、個人事業主としての働き方など、自立につながるキャリアプランを考えていくことが重要です。
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三好夏枝/Natsue Miyoshi
大阪経営クリニック株式会社 代表取締役
メーカー勤務の傍ら、結婚・出産後の働き方と資産形成に不安を感じ、個人事業主として不動産の大家業を開始して、資産形成に着手。
その後、大阪経営クリニック株式会社を設立し、個人事業主や小規模事業者の売上アップ支援、ライティング業を軸に活動。「自分らしく輝く大人」を増やすことで、子どもたちが「大人になって働くことは楽しい」と将来に希望が持てる地域・社会づくりを目指している。