子どもの好き嫌いに頭を悩ませるパパママは少なくありません。
第3回目「食べない子が変わる5つのステップとステップ別声かけ」では、焦らずに少しずつステップアップしていくことが大切という話をしました。
最終回となる今回は「食わず嫌いの解決方法」や「知ってほしいNG・OK声かけ」についてお伝えします。
知らずにやっていない? 子どもの『食わず嫌い』を増やす声かけ
子どもの食わず嫌いについて悩む声は多くあります。せっかく子どものことを思ってご飯を作っても、ひと口も食べることなく拒否されてしまうと、ついイライラしてしまいますよね。
しかしながら、最初から食わず嫌いの子どもはいません。
実は、子どもの食わず嫌いは、大人の声かけによって、知らず知らずのうちに作られることがほとんどです。
食わず嫌いとマイナスギャップ理論
なぜ食わず嫌いが生まれてしまうのでしょうか?これを理解することが、子どもの食わず嫌いを減らしたり、好き嫌いを克服したりすることにつながります。
子どもの食わず嫌いは、食べる前の「この食べ物はこんな味や食感かな?」というイメージと、実際に食べた後どうだったか(結果)のマイナスギャップが大きければ大きいほど、生まれやすくなります。
具体的な例を出して説明しましょう。筆者が子どもの頃、初めて茶碗蒸しを食べた時のことです。父が「これは日本のプリンだよ、美味しいよ」という声かけをして食べ勧めました。
それを聞いて私は「甘いプリン」を想像して、口に入れました。すると、どうでしょう。甘いと思って期待していた日本のプリンは、しょっぱく想像とはかけ離れた味でした。
この体験をしてから、大学生まで茶碗蒸しが食べられませんでした。
今まで食べていたものをいきなり食べなくなるのはなぜ?
子どもが「今まで食べていたものを食べなくなるケース」というのも、このマイナスギャップによって起こる場合があります。
以前「今までヨーグルトを食べていたのに、いきなり食べなくなった」という相談をいただきました。
原因はいつも同じメーカーのヨーグルトを食べていたのに、予告なく違うメーカーのヨーグルトに変えたことでした。
敏感な味覚を持つ子どもからすると「いつもの味ではない!」と驚き、それがちょっとした怖さにつながり、次から(これまで食べていたものも含め)ヨーグルトを食べなってしまうことがあります。
『予告する声かけ』の絶大な効果
こんなふうに食べる前と食べた後のマイナスギャップによって食わず嫌いが増えてしまいます。
ですが逆に「思っていたより美味しかった!」と、食べる前と食べた後のギャップがプラスに働くと好きになる可能性が高いのです。
そのため食べる前に期待値を上げないことが大切です。むしろ「酸っぱいかもしれないから気をつけてね」のように、事前に注意してあげるような声かけをするのがベター。
「そんなことをしたら、警戒して食べないんじゃないか」と思う方もいるかもしれません。
たしかにそういった側面はありますが、続けていると次第に「いつもお母さんは前もって教えてくれる」と、むしろ安心して口をつけてくれるようになります。
まとめ
『予告する声かけ』は、食わず嫌いを防ぎ、親子の信頼関係を築くために効果的です。ぜひ意識して毎日の食卓でトライしてくださいね!
これまで4回にわたるコラムにお付き合いくださり、ありがとうございました。皆さんがお子さんとの食事の時間を楽しんで過ごせますように!
山口健太
『きゅうけん|月刊給食指導研修資料』代表・編集長
一般社団法人日本会食恐怖症克服支援協会代表理事
「会食恐怖症」の当事者経験から「食べない子」専門の食育カウンセラーに。「食べない子」に悩む保護者、学校・保育園の教員などにメッセージを伝えている。著書に『食べない子が変わる魔法の言葉』(辰巳出版)など。