「子育てが落ち着いてきてそろそろ働きたい」「仕事に復帰したい」など…家族や家計のために日々考えているのではないでしょうか。
前回のコラムでは、自分らしく活躍するための『長期的なキャリア』の描き方についてお話ししました。ライフイベントを機に、自分自身の働き方について悩むことは多いですよね。
このコラムでは人気の接客業で活躍したい方のために『接客5原則』と『接客7大用語』についてお伝えします。接客業に就いている方はもちろん、これから接客業の仕事に挑戦したいと思っている方もぜひ一緒に学んでいきましょう!
目次
魅力が光る接客術!『接客5原則』とは?
接客について深く学んだり、指導を受けたりする経験はあまりないのではないのでしょうか。まずは筆者が日本航空で学んだ接客業に欠かせない『接客5原則』についてお伝えしていきます。
接客5原則①あいさつ
実店舗での対面接客はあいさつから始まります。そこで最初のコミュニケーションであるあいさつがスタッフの印象や店舗の印象に直結します。
『あいさつ』は『挨拶』と書きますが、挨(あい)は『押す』、拶(さつ)は『近づく』『迫る』という意味で、元は『一挨一拶』(いちあいいっさつ)という言葉です。禅宗で師匠が弟子の悟りの深さを確かめるために、繰り返し問答をすることです。
あいさつは自分から心を開いて、相手に一歩近づくイメージで行います。『あ』かるく、『い』つも、『さ』きに、『つ』づけて一言を意識してみましょう!
例えば「おはようございます。だんだん暑くなってきましたね」や「ありがとうございました!また秋のおすすめ商品もご賞味くださいね。」などです。あいさつに続けて状況に応じた一言を付け加えることによって、相手との言葉のキャッチボール、会話を続けることができます。参考にしてみてくださいね。
接客5原則②態度・所作
好印象を持ってもらうためには、お客様とのファーストコンタクトが大切です。はじめの一瞬の印象が一生続くと思ってください。
接客スタッフへの印象は企業ブランドのイメージにも直結し、一度持たれた悪い印象を変えるには相当の時間がかかります。そのため、態度・所作・笑顔は重要です。
忙しいときに焦りが所作に現れる方が多いです。忙しい時こそ丁寧に動作をするために『語先後礼』を意識しましょう。
『語先後礼』とは、言葉を口にしてから、次に行動を起こすこと。例えば「ご購入いただきありがとうございました。また新商品もお試しくださいね。」と言ってから、お辞儀をする。言葉と同時にお辞儀をしてしまうのではなく、感謝の気持ちの言葉にしてからお辞儀をしましょう。
たったそれだけで丁寧さも伝わり、印象がグッと良くなります。お客様も大切に扱われていることにお喜びになるでしょう。また、スタッフ同士が接する時にも相手への気遣いを忘れないようにしましょう。
接客5原則③表情
接客時の基本は笑顔ですが、その時々に応じた表情をしましょう!真顔だと声をかけにくいです。また、顔半分が覆われるマスクは表情が読み取りにくく、口角をグッとあげていても目が笑っていなければ笑顔は伝わりません。
笑顔は目元がポイントと意識してください。目元にシワが寄るような柔らかい表情が理想です。
接客5原則④身だしなみ
おしゃれと身だしなみの違いはわかりますか?
- おしゃれ
自分中心の満足で行うもので、自分の好みで楽しむもの - 身だしなみ
自分の役割や立場を考慮し、相手目線で装いを正すこと
TPO(Time:時、Place:場所、Occasion:状況・場面)をわきまえ、控えめで清潔感のある装いをしましょう。また、相手に清潔感を感じてもらえることが重要です。仕事をする上で働きやすさ、機能的かどうかも意識しましょう。
接客5原則⑤言葉遣い
言葉遣いが丁寧でないと印象は下がります。敬語で正しい日本語を使いましょう!
丁寧語である「です・ます調」は当然のこと、尊敬語や謙譲語を正しく使いわけ、自分の敬意を相手に届けましょう。言葉遣いは正しい知識を備えて意識して使わないと自然と話せるようにはなりません。
- 尊敬語:相手の動作を高めて、敬意を表す
(例)言う→おっしゃる、見る→ご覧になる
- 謙譲語:自分がへり下ることにより相手に敬意を表す
(例)言う→申し上げる、見る→拝見する
『接客7大用語』とは? 発声ポイントも意識しよう
接客7大用語とは、接客業やサービス業でお客様に対して使用する代表的なあいさつや言葉です。7つの言葉を意識してスムーズで気持ちの良い接客につなげましょう。
- いらっしゃいませ
- かしこまりました
- 申し訳ございません
- 恐れ入ります
- 少々お待ちくださいませ
- お待たせいたしました
- ありがとうございます
接客7大用語①いらっしゃいませ
お客様の方を向き、アイコンタクトを取りましょう。第一印象が肝心ですので、声のトーンにも注意し笑顔で元気にあいさつしましょう。「いらっしゃいませ〜」と語尾は伸ばさずに発声します。
接客7大用語②かしこまりました
お客様からのお申し出やご要望にOKを伝える時「わかりました」「了解しました」よりも「かしこまりました」や「承知しました」が相応しいです。「わかりました」「了解しました」は丁寧語、「かしこまりました」や「承知しました」は謙譲語。より敬意を表現することができます。
接客7大用語③申し訳ございません
「申し訳ありません」よりさらに丁寧な言い回し「申し訳ございません」を使いましょう。「すいません」や「ごめんなさい」ではカジュアルすぎて相手に敬意が伝わりません。謝罪の言葉ですので、特に気持ちを込めて発声しましょう。
接客7大用語④恐れ入ります
お客様に何かお願いする時や配慮してもらった時には「恐れ入ります」を使いましょう。また、申し訳ない気持ちや感謝の気持ちを、敬意をもって示すときにも使用します。
接客7大用語⑤少々お待ちください
お客様と会話をしている最中にその場を離れる時に使います。「ちょっとお待ちください」ではなく『少々』という改まり語で丁寧さを出しましょう。「少々お待ちいただけますか」と語尾を依頼形にするとさらに丁寧さが伝わります。
人によって「少々」
接客7大用語⑥お待たせいたしました
「少々お待ちください」とセットで使いましょう。お待たせした時間の長さに関係なく、お客様の元に戻った時にはお待たせして申し訳ない気持ちと、待っていただいたことへの感謝の気持ちを伝えます。
接客7大用語⑦ありがとうございます
お客様へ感謝の気持ちを伝えることは接客の基本です。お客様から注文を受ける時、お店から帰る時など、様々な場面で感謝を伝えます。常連のお客様には「いつもありがとうございます」と「いつも」をつけると、好感を持ってもらえるでしょう。
まとめ
ここまで、接客5原則と接客7大用語をお伝えしましたが、知識やマニュアルの習得だけでは、お客様のニーズを叶え顧客満足度を高める対応はできません。
お客様のニーズを把握するためには的確な質問をし、お客様のお話をしっかり傾聴し、こちらからの提案も交えながら接客をしましょう。
時にはたわいもない会話で和やかな雰囲気を作ることも大切です。お客様と心の通う接客を目指しましょう!
そして親しき仲にも礼儀あり。接客5原則はお客様対応時に限らず、人間関係を良好に保つために必要なマナーです。今回お話しした接客5原則を身近な人との関わりの中でも意識することで、お互いが尊重し合うハッピーの連鎖が生まれます。ぜひ日常でもご活用くださいね。
次回コラムは2023年8月23日公開予定です。お楽しみに!
鵜飼 千登静/Chitose Ukai
夢叶いJALの客室乗務員として国内線・国際線に乗務。その後、結婚、妊娠。しかし、育児休職中にまさかのJAL破綻。思いもよらぬ形で早期退職というつらい選択を余儀なくされる。
キャリアが途切れる不安から、娘1歳半より講師としてセカンドキャリアを築くが、小さい我が子を抱えての社会復帰に心身ともに限界に近づき、ひとり働き方改革!
現在はフリーランスの講師×キャリアコンサルタントとして、行政セミナー、企業研修、教育機関(高校・専門学校・大学)講義、就職・キャリアアップ支援など人材育成をメインとする。一人ひとりの個性や現在の状況と課題に着眼し、その方が描く未来に近づけるようファシリテーターとしての役割で人を導く。
・ホームページ Career Path Design