子どもが薬を飲んでくれないのは苦労しますし、どうしたらいいか悩みますよね。
「なぜ飲んでくれないんだろう」「どうしたら飲んでくれるのかな?」「飲みやすくするためにジュースに混ぜているのに…」と、原因が分からず解決法を見つけられないと多くの悩みを耳にします。
もちろん、子どもの好き嫌いや性格、個性も大きな要因の1つですが、実はそれだけではありません。
このコラムでは子どもが薬を飲んでくれない時の原因と対処法についてお伝えします。
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目次
子どもが薬を嫌がる…!考えられる4つの原因
子どもが薬を飲まないのにはちゃんとした理由があります。「子どもが薬を飲まないのは私のせいだ」と1人で抱え込まないでください。
ここでは、考えられる原因を4つご紹介します。
薬を嫌がる原因① 味覚が敏感だから
子どもの味覚は大人の3倍と言われていて、味や匂いに敏感です。
子どもは味を感じる器官である『味蕾』が大人の3倍多いといわれています。大人以上に薬の持つ苦味やえぐみを感じやすいため、薬を嫌がる傾向にあります。
また子どもは大人に比べて『食』への経験が少なく、慣れない味を嫌いと判断してしまうことも原因の1つとして挙げられます。
薬を嫌がる原因② トラウマ体験
子どもは新しい体験に対して恐怖心を抱くことがあります。
以前、薬を飲むときに「叱られてしまった」「無理やり飲まされた」などの苦痛や不快な経験があると「薬=嫌なもの」というイメージに繋がり、薬を嫌がる原因となる可能性があります。
薬を嫌がる原因③ 個性や特徴
初めての体験に対して、1人1人慣れるスピードや好みが違って当たり前です。また、味やにおいに対する敏感さも個性により異なります。
周囲のお子様が難なく薬を飲用していても気にしなくて大丈夫です。
薬を嫌がる原因④ 「ジュースに溶かせば大丈夫」は嘘!?
薬を処方される時「ジュースに溶かして飲ませてあげてください」とアドバイス受けたことはないですか?
ジュースに混ぜて問題ない薬は多いのですが、中にはジュースに混ぜることで飲みにくくなる薬も存在します。
例えば、抗生剤。抗生剤のクラリスドライシロップはオレンジュースなどの酸性環境下で、甘いコーティング剤が剥がれてしまい、苦くなってしまいます。
この他にも、飲み合わせを気をつけなくてはいけないものはいくつかありますので、お薬をもらう際には薬剤師へ「ジュースに混ぜても大丈夫ですか?」と一度聞いてみてください。
薬を飲ませる時にやってはいけないこと
薬を飲ませる際に、母乳、ミルクと一緒に与えないように注意してください。
母乳やミルクを薬と一緒に飲ませることで薬の苦味や嫌悪感から嫌な思い出となってしまい、ミルク嫌いになってしまう危険性があるからです。ミルクは赤ちゃんの重要な栄養源であり、薬が飲めてもミルク嫌いになっては元も子もありません。
また、抗生剤の中にはミルクに含まれるカルシウムにくっつくことで吸収できなくなり、薬の効果が弱くなるものもあります。
どうすれば子どもが薬を飲んでくれる?大切なポイント3つ
子どもが薬を飲むポイント① 味付けや形状を工夫する
「薬=苦い」というイメージがありませんか?たしかにジュースで甘く味付けすることで飲みやすくなる薬は多いです。
しかし、中には塩辛い薬も存在します。甘く味付けすると甘味と塩味が喧嘩をして、さらに飲みにくくなることもあります。その場合、みそ汁などの塩味のあるものに混ぜるのも1つの手です。
また、飲ませる形を工夫することも重要です。
- 粉薬が苦手
少量の水でペースト状にし、口の中に張り付け水で流し込む方法 - 水薬が苦手
凍らせて氷にして口に含ませる方法
など形状を変えることで服用しやすくなる場合もあります。
子どもが薬を飲むポイント② 飲みたくなる雰囲気を作る
子どもにとって、薬を飲むことは大人以上に非日常的であり身構えてしまうもの。「何のために飲むのか」分からない薬は未知で怖い体験そのものです。
親が子どもに対して薬の必要性や効果について説明し、子どもが納得するまで時間をかけて不安や恐怖を和らげてあげることが大切です。
ポイント③ 薬剤師へ相談する
どうしても上手く飲ませることができない場合、薬剤師に相談してください。
専門的な視点から薬の特性や患者さんの状態を考慮し、薬の形状や味の工夫、他の適切な代替薬の検討などを提案することができます。
食品や薬同士の飲み合わせ、服用のタイミングなどを注意しなければいけない薬もあるので、迷ったら一度相談してみましょう。
まとめ
子どもが薬を飲まない理由は、味覚や過去の体験、個性など様々な要因が影響します。できるだけ薬の味や形状を工夫し、子どもに理解を促すことが大切です。
また、薬剤師の専門的な助言を受けることで、より具体的な方法が見つかることでしょう。
薬剤師と協力し、子どもが安心できる環境を整え、一緒に子どもと薬と向き合い、より良い方法を試行錯誤することが大切です。
薬で困った場合は、ぜひ薬剤師に気軽にご相談ください!
(文)
川口 大智/Daichi Kawaguchi
大学卒業後、大手病院に勤務。病院時代に小児科・脳神経外科など、多識にわたる疾患を学び、自己研鑽の一環からスポーツファーマシストの資格を所得。
より患者様のと近づき、身近に貢献したいという思いから、2023年、大阪府茨木市に「つばくろ薬局」を開局。同薬局にて、地域に密着した医療貢献に従事。
地域での講演会や・学校に対する説明会などを通じて、地域住民との交流を積極的に行っている。
・ホームページ:つばくろ薬局