『お金の話』と聞くと、どうしても避けてしまったり、抵抗があったりする方もいるかもしれません。このコラムでは、お金を知ることで人生が明るくなる方法をお伝えいたします。
前回のコラム家計のデトックス! 支出を減らす節約のポイントでは「支出の減らし方」についてお伝えしました。
このコラムでは「収入を増やす」をテーマにママが働くときに必ず悩む『扶養』について一緒に考えていきましょう!
(下記は2023年8月1日時点の情報です)
働くママの悩み『扶養』について考えよう
ママが働くときに悩むのは「扶養内で働く」か「扶養を外れる」か。実際に働きに出る際に多い悩みは
- いくらまで稼いでいいの?
- パートで働く?正社員で働く?
- パートで働くなら扶養内で働く?扶養を外れて働く?
などです。今回は扶養について細かく解説していきます。
「扶養内で働く」とはどういうことか?
『扶養』とは、主たる生計者(パートナー)に養ってもらうという意味です。
- 社会保険上の扶養
- 税務上の扶養
の2種類があり、内容が違うことを理解しないといけません。「103万円の壁」とか「130万円の壁」と言われます。それぞれ基準となる収入が異なります。
社会保険上の扶養とは?
生計者(パートナー)が会社員の場合、パートナーが勤めている会社が、被扶養者の社会保険料(年金・健康保険・介護保険)を負担します。パートナーの扶養内で働ければ、自分で社会保険料を負担する必要はありません。これが、社会保険での扶養の定義です。
社会保険上の扶養で働くための条件 130万円の壁
社会保険の被扶養者として認定されるには、年収が130万円未満で、パートナーの年収の2分の1未満であることが条件となります。
目安としては月収を10万8000円以内にすると130万円を超えません。
年収130万円を超えてしまうと…
扶養から外れ、自分の社会保険料(厚生年金、健康保険)を払わなければいけなくなります。
ママが会社に雇用されている場合は、一定の条件を満たせば勤め先の社会保険(厚生年金、健康保険)に入ることができます。しかし、保険料は給与天引きとなるため、手取り額は減ってしまいます。
一定の条件を満たしていない場合は、国民年金と国民健康保険に加入する必要があります。
勤務先による注意 106万円の壁
以下①~④すべてに該当する場合は、年収が106万円以上であれば勤め先での社会保険への加入が義務化されています。
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 月額賃金が88,000円以上
- 1年以上の雇用見込み
- 学生ではない
- 従業員数101人以上の企業
※2024年10月からは従業員数51人以上に変わります。
この場合は106万円以上稼いだら社会保険上の扶養を外れます。勤務先に確認をしましょう。
税務上の扶養とは?
よく聞く103万円の壁のことです。収入が103万円以下なら、所得税及び復興特別所得税はかかりません。また、扶養者は配偶者控除を受けることができ、所得税と住民税が軽減されます。
税務上の扶養については
- 扶養している人にとって税金の控除のメリットがあるか?
- 自分で税金を払うか?
という点がポイントになります。
2つの扶養を知ると、ママが働く際に大きく関わってくるのは社会保険上の扶養ということが分かります。「103万円を超えないように」とこだわっている方がいたら、実は違うかもしれません。
扶養を外れて働く選択について
扶養を外れないように働き方を調整する場合、外れて働いた場合のメリットをそれぞれ比較していきましょう。
扶養を外れて働いた際のメリット
- 収入が増える
シンプルに世帯収入が増える。それだけで、使うお金、貯めるお金、運用できるお金が増えます。
- 将来の年金が増える
厚生年金という意味ではメリットが大きく、将来もらえる年金の金額が増えるということです。また、社会保険は労使折半の為、年金の半分は会社が負担してくれるという考えになります。
- 給付金制度
雇用保険に関して、失業手当・育児休業給付・介護休業給付など、働けないときに給付がもらえるようになります。
これから働いていく中で、子どもが増えることや親の介護などで生活スタイルが変わることがあるかもしれません。その際、国からの保障が得られるメリットはあるのではないでしょうか。
いくら稼いだら扶養を外れても損しないの?
個人の状況により多少は変わりますが、だいたい年収150万円以上が基準になると思います。
厚生年金や健康保険料などの社会保険料が給料から天引きになる点と、パートナーの配偶者控除などの関係を考えると、年収150万円以上稼ぐ見通しがないとお金の面でのメリットは見出しにくいかもしれません。
例えば扶養者が大手企業勤務で、健保組合や福利厚生が手厚い場合は、扶養に入っていた方が得などもありますね。ですが、厚生年金を払うことで将来の年金は確実に増えるので一概に損とも言い切れません。仕組みを理解して選ぶことが大切です。
まとめ
『103万円の壁』『130万円の壁』の違いは分かりましたか?今回紹介した目安を参考に自分の働き方を考えましょう。
ポイントは社会保険上の扶養で150万円以上稼ぐかどうかを目安に働き方を考えてみてはいかがでしょう?もちろん身を削って無理をするというわけではなく、あくまで「ライフプランに沿った人生にするために、いくら稼いだらいいのか」を考えることができたらと思います。
大切なのはライフスタイルとバランスです。もし収入を増やせたら、よりうまくお金を活用して人生を明るく設計していきましょう。
次回コラムは2023年9月12日公開予定です。お楽しみに!
近藤 賢一/Kenichi Kondo
子育て世帯専門のファイナンシャルプランナー事務所RAC代表。
『関わる全ての子育て世帯が、知らないことで損をしないため』に難しいお金の話を分かりやすくワクワク伝えるプロ。
年間100世帯以上の子育て世帯の家計相談や資産運用、住宅購入等ありとあらゆるお金の相談に対応。毎日配信される公式LINEは「無料で気軽にお金や制度、経済の情報を得ることができる!」と大好評。大人だけでなく子どもの金銭教育にも力を入れ、お金の大切さやお金の稼ぎ方を伝えるオンラインスクールも開講しています。
大学生のアメリカンフットボール部のコーチもしながら、明るく楽しく人生100年時代を生き抜く力をつけるための並走者として活動中です。
・ホームページ:ファイナンシャルプランナー事務所RAC