病気になると、その治療には様々な薬が欠かせません。子どもの薬の扱いについては特に十分な配慮が必要です。
みなさんはおくすり手帳を持っていますか?どれくらい活用していますか?
このコラムでは薬剤師がおくすり手帳に関する大切な情報や活用法をお伝えします。
▼子どもの急な発熱時での解熱剤の使用方法について、薬剤師が解説しています。ぜひ、参考にしてみてくださいね。
目次
おくすり手帳は何のためのもの?
おくすり手帳は、主に高齢者の方のためのものだと思っていませんか?実は子どもにとっても同じように大切なツールです。
子どもの成長に合わせて変化する様々な情報や個々の特徴を考慮することで、医療従事者はより効果的で安全な治療ができます。
あなたやご家族の健康を守る手助けとなるお薬手帳の情報を充実させ、薬剤師や医師等、医療従事者との連携を深めましょう!
おくすり手帳活用法! 手帳に書いておくべき3つの情報
意外かもしれませんが、おくすり手帳は、自分の手で必要な情報を書いて良いのです。そうはいっても何を書けばいいのか迷いますよね。
おくすり手帳に書いてほしい情報は3つあります。
【おくすり手帳活用法1】体重の変動を書く
子どもは成長が早いため、体重がどんどん変わります。一般的に、子どもに処方されるお薬は、年齢や体重で量が決まります。
これを薬剤師が正確に把握することで、投与する薬の量を調整し最適な治療を実現できます。
【おくすり手帳活用法2】アレルギー情報を書く
おくすり手帳にアレルギーの有無を書いておけば、薬剤師が適切な薬を提案できます。
おくすり手帳の見開きに記載して、常に見やすいようにするのがおすすめです!薬局の窓口でおくすり手帳を渡すときに口頭でも伝えるとよりスムーズです。
医薬品の中には、卵や牛乳の成分を微量に含むものがありますので、お薬によってはアレルギー反応が生じてしまうこともあります。
また、食物だけでなく、以前服用して気分が悪くなった薬などを記載するのも良い使い方です。薬の正確な名前を覚えるのは困難ですよね。ぜひ手帳に記載してください。
【おくすり手帳活用法3】過去の薬歴・体質を書く
おくすり手帳の最大の役割は、薬局でもらうシールを貼り、薬歴が分かるようにすること。
薬の履歴からは、その個人がどのような経過を辿ってきたのか、何が適さなかったのかなど、様々なことを知ることができます。薬剤師が確認することで、薬の相互作用や副作用をしっかりチェックできます。
より良い活用法は、子どもの独自の体質を書いておくこと。「甘すぎる薬は飲みにくい」「水薬は飲めない」「大きい錠剤は飲み込めない」などが分かると薬剤師は一人ひとりに合わせた提案ができます。
まだまだある! おくすり手帳に情報を記載するメリット
【メリット1】代理受取時がスムーズになる
パートナーや親戚の方などが代理で薬を受け取る時なども、おくすり手帳に情報が書かれていればスムーズに薬を受け取れます。
体重やアレルギー、過去の薬歴をお薬手帳から確認できれば、薬剤師は代理の方でも安心して薬を渡すことができます。
【メリット2】緊急時に迅速な対応ができる
夜間の発熱や緊急時において、おくすり手帳はとても頼りになります。
緊急時、医療スタッフは素早い対応が求められますが、おくすり手帳から詳細な情報が分かれば、状況把握が早く適切な医療をよりスムーズに提供できます。
まとめ:おくすり手帳は子どもと共に成長する便利なツール
おくすり手帳は、ただ薬歴を記録するだけのものではありません。子どもたちの成長と共に進化する新しい時代の健康マネジメントツールです。
情報が詰まっていれば、医療スタッフはスマートな対応ができ、格段に安心・確実な治療を受けられます。子どもたちの健康をサポートするために、ぜひおくすり手帳に書くことを新習慣にしてください。
おくすり手帳で、元気な笑顔がいつも満ちている健やかな毎日を過ごせますように。
次回コラムは2024年3月20日公開予定です。お楽しみに!
【執筆者情報】栗山 徹(クリヤマ トオル)
大学卒業後、大手ドラッグストア/調剤薬局にて薬剤師として従事。「自分たちで、望まれる医療貢献をしたい」という思いから、友人と“つばくろ薬局”(大阪府茨木市)を開局。同薬局の管理薬剤師として、介護や医療の側面から地域貢献に携わる。また、薬剤師の認知度を高めるため、地域での講演会や、“みらいのたからばこ”などのイベントにも積極的に参加。
ホームページ:つばくろ薬局