子どもが急に発熱してしまった時、慌ててしまったり、どうしたらいいかパニックになってしまったりした経験はありませんか?
病院に行くか…様子を見るか…それとも家にあるこの薬を使ってもいいのかな…など困った経験は誰にでもあるのではないでしょうか。
このコラムでは子どもの急な発熱時の適切な対応方法や、解熱剤を使った正しい対処法についてお伝えします。
▼薬局や薬剤師との関わり方についてご紹介しています。薬局に相談できることもあるので参考にしてみてくださいね。
目次
子どもの急な発熱 どうしたらいい?
子どもが急に発熱した時、病院に行くかどうか困ったことはありませんか?
受診するかどうかは年齢によって目安が設定されています。
- 3ヶ月未満の場合…38℃以上の熱があれば速やかに医療機関を受診しましょう。
- 3ヶ月以上の場合…38℃以上の熱があっても意識がはっきりしていて、食事や水分がとれていれば、無理に受診する必要はないことが多いです。安静にして様子を見てあげましょう。
また、対応に困った場合は、子ども医療電話相談事業に相談することもできます。
子ども医療電話相談事業は、全国統一の短縮番号#8000をプッシュすることでお住まいの都道府県の相談窓口に自動転送されます。夜間・休日でも小児科医師・看護師に相談する事ができますので、活用してみてください。
発熱の原因と解熱剤の役割
まず発熱の原因と、解熱剤の役割について知りましょう!
発熱の原因は?
発熱の原因は様々ありますが、子どもが発熱する原因のほとんどはウイルス感染によるものです。体の中にウイルスが入ってくると、体を守るための免疫機能が働いて体温が上がります。
熱が出る原因は、自分の体を守るため。体温が上がると、ウイルスの働きが鈍くなったり、免疫機能の働きが高まるため、ウイルスを排除することができます。
解熱剤の役割は?
解熱剤には、病気自体を治す作用はありません。体を守るために上がった体温設定を下げてくれる効果があります。
体温設定を少し下げることで、体を守る免疫機能を維持しつつ、食事や水分、睡眠が取れないなどのつらい症状を緩和することができます。
解熱剤の使い時・使い方のポイントは4つ
【ポイント①】解熱剤を飲ませる?
子どもが発熱していると、熱を下げてあげたいと思う方が多いと思いますが、必ず熱を下げる必要はありません。
前述した通り、ウイルスや細菌から体を守るために体温が上がっているので、熱があっても元気な場合、食事水分や睡眠が取れている場合は、解熱剤を使わずにそのまま様子をみてあげましょう。
熱が出ていて不機嫌になったり、ぐったりしていて食事が取りにくくなったり、なかなか寝てくれないこともあると思います。このような時は解熱剤を使って、熱を一時的に下げて、食事や水分、睡眠を取れるようにしてあげましょう。
【ポイント②】解熱剤は空腹時に飲んでも大丈夫?
解熱剤にはいくつか種類がありますが、子どもにはカロナール(アセトアミノフェン)が最も安全に使用できるため、よく処方されます。
食事に関係なく使うことができるため、飲めるタイミングで飲ませてあげましょう。錠剤、粉薬、シロップ、坐剤などの剤形があります。
【ポイント③】解熱剤は何度も飲ませてよい?
解熱剤を飲ませたけど、あまり熱が下がらない。様子を見た上でもう一度飲ませたい。その際は、一般的に6時間ほど間隔を開けてから再度解熱剤を飲ませてあげるようにしてください。
【ポイント④】きょうだいの薬は使い回せる?
風邪をひくと家族間でうつってしまうことはよくある事です。しかし、症状が同じでも薬の量は、年齢・体重・体質などによって1人1人調節されています。
また、他の人に処方された薬を飲んで副作用がでた場合、副作用被害の救済制度の対象外となってしまいます。そのため薬は使い回さないようにしましょう。
座薬の使い方
座薬を処方されることもあるでしょう。少々使い慣れない方も多いかもしれませんので正しい使い方を説明します。
- 肛門に挿入した後、10秒ほどおさえて座薬が出てこないことを確認してください。
- しばらくしてから座薬が出てきてしまった場合、形が残っていればもう一度挿入しましょう。形が残っていなければ薬の成分はある程度吸収されているので、新しいものを追加で入れずに様子を見ましょう。
- ダイアップ坐剤(熱性けいれんの坐剤)も一緒に使う場合、ダイアップ坐剤の効果が弱まらないように、ダイアップ坐剤を先に使ってから30分以上間隔を空けてから解熱剤の坐剤を使うようにしてましょう。
子どもの急な発熱時の対応法 まとめ
熱があってもすぐに解熱剤を使うのではなく、子どもの様子をよく観察してから使うようにしましょう。
解熱剤以外の薬でも、薬の飲み合わせや、薬を飲み忘れた時の対応、子どもにうまく薬を飲ませられない時など、気になることがあればいつでも薬局にご相談くださいね。
(文)
林 亮佑/Ryosuke Hayashi
大学卒業後、大手ドラッグストアにて薬剤師として従事。「これからの時代、在宅医療が必要になってくる」という思いから調剤薬局「つばくろ薬局(小児科・内科・整形外科 門前)」に入職。
ドラッグストア時代は主に調剤業務/薬局長・管理薬剤師を担当。現在はつばくろ薬局にて、これまでの経験を活かし、在宅業務に取り組んでいる。
子どもの薬剤師体験などの交流会や地域の勉強会にも積極的に参加し、地域の健康増進にも貢献している。
・ホームページ:つばくろ薬局