子どもの『むし歯菌』は、いつから気にしてあげればいいの?気にしているけどわからない。
そんな0歳ママさんが一番気になる歯みがきのことや歯が生える前から知っておきたい乳歯ケアと仕上げみがきのコツについてお伝えします。
また、前回のコラムでは授乳期・離乳食期から始まる 成長ステージ別 お口の基本知識とポイントについて紹介しています。ぜひ、参考にしてみてくださいね。
目次
子どものむし歯菌の感染について
むし歯菌は、歯が生えていないときはお口に定着しません。そのため、その時期にキスなどのスキンシップは問題ありません。
基本的にむし歯菌は、保護者の唾液を介して常に伝播していきます。むし歯の感染の窓がひらく時期は、19か月〜31か月と言われています。
この時期から砂糖を頻繁に摂取すると、むし歯菌は急激に増殖し歯に定着しやすくなります。
子どもがむし歯になりやすい習慣とは?
夏にかけて、イオン水を飲ませてあげるママさんも多いと思います。しかし、風邪で食欲がない以外での水分摂取はお茶かお水にしましょう!
水分摂取にイオン水を多用すると起こること
- 今後もイオン水しか飲まなくなる可能性がある
- 離乳食時にイオン水やジュースなどを飲む癖をつけると、水分摂取にお茶やお水を飲まなくなる可能性がある
飲む量や飲み方に気をつけましょう。お風呂上がりには水を飲ませてあげるといった対策もいいですね。
また、哺乳瓶の中にイオン水や乳酸菌飲料、ジュースを入れることも注意が必要です!哺乳瓶で飲むと、一番最初に飲み物が当たる上の前歯がむし歯になりやすくなります。
すすり飲みやコップ飲みができる時期になったら、ミルクなども哺乳瓶に入れず飲ませてあげてください。もし、哺乳瓶がすぐに手放せないときは、中身をお茶かお水にしてあげましょう。
間食にも注意が必要
だらだらと食べたり飲んだりすることも、むし歯になりやすい原因となります。
赤ちゃんにとっての間食は、離乳食を1度にたくさん食べられない場合に、栄養を補うものです。
「間食=おやつ」ということではないので、その場合は栄養面を重視して食べるものを選びましょう。おにぎりや茹で野菜ステック、イモ類などでも大丈夫ですよ。
赤ちゃんの歯はいつ磨く?
歯を磨く1番いいタイミングは、食後です。
しかし、離乳食が始まったばかりの赤ちゃんの場合、離乳食の進み具合によって食べる回数が定まらず、食後の歯みがきの回数が増えてしまいます。
ママの負担にもなってしまうため離乳食が始まっている場合、寝る前にしっかり磨くことをゴールにしてみましょう。
就寝時は唾液の出る量が少ないため、みがき残しがあるとむし歯になるリスクが高まります。そのため寝る前が歯みがきをするポイントになりますが、まずはできるときに歯を磨くことを意識しましょう。
乳歯ケア・仕上げみがきのコツ
お口はとっても敏感です。歯が生えていないときからお口を触って感覚を覚えさせてあげることで、歯ブラシなどを口の中に入れられることへの抵抗を少なくすることができます。
「歯みがきを嫌がって磨かせてくれない!」と、そんなお悩みをもつママさんも多いです。
仕上げみがきもスキンシップです。歯が生える前からコツをつかんで、イヤイヤ歯みがきの時期を上手に乗り切りましょう!
時期別:歯みがきのポイント
歯がまだ生えていないとき
- 寝かせみがきができる姿勢(あおむけ)に慣れさせておく
- 歯が生える前から清潔な手でお口の周りや歯ぐきを触っておく
- マッサージをしてあげる
足先から顔の方にむかってやさしく触り、からだの敏感さをゆるめ最後に口まわりを触る
歯のあたまがでてきたとき(生えかけのとき)
- ガーゼを使いやさしく拭きとる
- お口の中用のウェットティッシュで拭きとる
歯がしっかり生えてきたとき
- 仕上げみがき用の歯ブラシで磨く
- お子様の機嫌がいいときに磨く
- 上の前歯は最後に磨く(ここが一番に敏感なところ)
- 長く磨かない
- 力を入れすぎない
※ママの笑顔も忘れずにお願いします!
子どものむし歯予防には、フッ素入りの歯磨剤も効果的
『フッ素』はむし歯予防に効果的と言われています。
フッ素の働き3つ
- エナメル質の修復を促進
- 歯の質を強化
- 菌のはたらきを抑える
フッ素は、口の中にとどまる時間が長いほど効果的で、歯が生えはじめてから2歳頃までは、900〜1000ppmのうがいなしジェルタイプの歯磨剤がオススメです。
ただし、使用する際は、量と使い過ぎには注意しましょう。米粒1粒ぐらいの大きさを目安に使ってください。
ですが、むし歯予防で一番大切なのは、何といっても歯みがきです。
育児中に気をつけたいことは、親子でスプーンなどの食器の共用は避けること。子どものむし歯予防には、パパ、ママもお口の中のむし歯菌が増殖しないように、普段からしっかり歯を磨いたり、歯医者さんでクリーニングを受けたりすることもよいですよ。
お口の中のむし歯菌を減らして、家族でお口の健康に取り組みましょう。
まとめ
いかがでしたか。むし歯予防についてお話しましたが、どんなに気を付けていてもむし歯になることもあります。
もし、子どもがむし歯になったとしてもご自分を責めないでください。
お願いしたいことは、健診でむし歯と言われたら、放っておかないこと。乳歯は生え変わりますが、放っておくと大人の歯(永臼歯)に影響がでてきます。
特に奥歯がむし歯になって放っておくと、痛くなりしっかり食べる練習ができません。
むし歯やお口のことで気になるときは、0歳から歯医者さんでみてもらえます。かかりつけの歯医者さんや、赤ちゃんから診てもらえる歯医者さんに相談してみてくださいね。
次回は、2024年7月15日公開です!お楽しみに!
(文)小牧圭美/Kiyomi Komaki
歯科衛生士歴23年 二児の母。
歯科医院勤務後、歯科衛生士養成校にて10年以上教育に携わり、担当患者数は歯科診療補助・歯科予防処置を含め、40,000人以上。結婚・出産後に退職し、離乳食をきっかけに食育インストラクターや健康咀嚼指導士を取得。介護士として施設で働く経験も持つ。
現在は、現役の歯科衛生士として大学で歯科衛生士教育に非常勤で携わりながら、乳幼児健診も行う。また、自身の経験から必要性を感じた人財育成として専門家へのコミュニケーション研修や教育機関、介護施設でお口の大切さを伝える講師をしている。
2022年より阪神梅田本店にて、ママそら講師として0歳ママさんを対象に「赤ちゃんのお口育て講座」を開催。2023年には「歯科医院お仕事マニュアル」共著で出版。