個人事業主になるうえで、気になるお金のこと。このコラムでは、5回に分けて、個人事業主にまつわるお金の不安を解消するための情報をお届けしています。
前回のコラムでは、インボイス制度についてお伝えしました。
最終回となる今回は、個人事業主の確定申告について解説します。「確定申告は税理士さんに依頼しないと難しいのかな?」「子育ての合間に自分でできるのかしら?」など、不安になりますよね。
専門家に依頼するには費用がかかるため、家計の観点からもなるべく節約したいと考える方も多いのではないでしょうか。
しかし、安心してください。確定申告は、子育ての合間を上手に使って、自身でも十分に作成可能です。以下では、確定申告のコツをご紹介していきます。
目次
確定申告にかかる時間の目安は3日〜1週間程度
初めての確定申告で、どのくらい時間を確保すればいいのか、不安に感じるかもしれません。そこで、実際の所要時間の目安をご紹介します。
一般的に、確定申告の準備から申告書の提出までは、3日〜1週間程度かかるとされています。
- 書類の収集と整理: 1〜2日
- 申告書の作成: 3時間〜数日
ただし、これはあくまで目安であり、事業内容によって大きく変わります。
例えば、特定の会社との業務委託契約のみなど、取引内容がシンプルな場合は、比較的スムーズに進められるでしょう。一方で、不動産収入や、複数の事業収入がある場合は、より多くの時間が必要になります。
子育て中のママは、子どもの予定も考慮し、余裕を持って準備を始めるのがおすすめです。 子どものお昼寝時間に書類の整理、夜の空き時間にデータ入力など、スキマ時間を活用して進めていきましょう。
確定申告ツール、あなたに最適なものは?
確定申告ツールは大きく分けて2種類あります。国税庁の無料サイトと、マネーフォワードやfreeeなどの企業が提供する会計ソフトです。それぞれのツールの特徴を比較し、あなたに最適なものを選びましょう。
国税庁の確定申告書等作成コーナー
完全無料で利用可能な、国税庁が提供する確定申告作成ツールです。
画面の案内に従って必要事項を入力していくだけで、自動的に税額が計算され、申告書が作成できます。スマートフォンでの操作にも対応しているため、育児の合間のスキマ時間を使って少しずつ進められるのも魅力です。
メリット
- 完全無料で利用可能
- 操作手順がシンプル
- 基本的な確定申告に必要な機能が揃っている
向いている人
- 取引数が少なめの方
- シンプルな確定申告をしたい方
- コストを抑えたい方
マネーフォワード・freeeなどの会計ソフト
銀行口座やクレジットカードとの連携により、取引データを自動で収集・整理できるクラウド型の会計ソフトです。
日々の記帳作業を効率化し、確定申告時期の負担を大幅に軽減できます。スマートフォンで領収書を撮影するだけで記録が残せるため、外出先でも手軽に管理できます。
メリット
- 銀行口座やクレジットカードと連携可能
- AIによる自動での経費仕分けが可能
- 領収書をクラウドに保存可能
- 年間を通じての収支管理が簡単
- 確定申告書の自動作成機能あり
向いている人
- 取引量が多い方
- 複数の収入源がある方
- 詳細な経理管理が必要な方
- 時間効率を重視したい方
準備する書類、これさえあればOK!
確定申告の準備で最も大切なのは、必要書類の収集です。子どもの通園バッグの準備と同じように、チェックリストを作成し、漏れがないか確認しましょう。
基本的な準備物リスト
確定申告に必要な書類は、意外とシンプルです。事前に準備をしておけば、確定申告の作業がぐっとスムーズになります。特に、領収書や請求書は日付順に整理しておくと安心です。
1. 収入の記録(売上台帳や請求書)
2. 経費の証拠書類(領収書)
3. 通帳やクレジットカードの明細
4. マイナンバーカードまたは通知カード
5. 印鑑(押印が必要な場合)
おすすめの書類管理方法
会計ソフトを使う場合もアナログ管理の場合も、自分の生活リズムに合った方法を見つけることが継続のコツです。家事や育児の動線に書類管理を組み込んで、無理なく続けられる仕組みを作りましょう。
会計ソフトを利用する場合
- 領収書はスマホで撮影してアプリに保存
- 銀行口座の自動連携で入出金を記録
- クラウドで安全に保管
アナログで管理する場合
- 月別のファイルを用意して領収書を保管
- 経費は項目ごとに分類
- エクセルなどで収支を記録
確定申告の具体的な手順
確定申告は、事前の準備さえしっかりしていれば、思ったより簡単に進められます。ここでは、国税庁サイトと会計ソフトそれぞれの場合の具体的な手順をご紹介します。
手順に沿って進めることで、確実に申告を完了させることができます。
国税庁サイトを利用する場合
国税庁の確定申告書等作成コーナーは、画面の案内に従って入力していくだけで、初めての方でも迷わず申告できるように設計されています。以下の手順で進めていきましょう。
1. 確定申告書等作成コーナーにアクセス
2. 利用者識別番号を取得
3. 画面の案内に従って情報を入力
4. 税額の自動計算を確認
5. e-Taxで送信または印刷して郵送
会計ソフトを利用する場合
会計ソフトを使えば、日々の取引データが自動で集計され、確定申告用のデータも自動で作成されます。普段から記録を残しておくことで、確定申告時期の作業を大幅に効率化できます。
1. 日々の取引を自動記録
2. 経費の確認と仕訳
3. 確定申告データの自動作成
4. 内容の確認と修正
5. e-Taxに連携して送信
困ったときの心強い味方
初めて確定申告に取り組む際は、わからないことや不安なことが出てくるものです。しかし、心配いりません。
実は、無料で相談できる窓口がたくさん用意されているのです。
税務署での対面相談から、オンラインでのチャットサポートまで、状況に応じて最適な方法で質問できます。特に確定申告期間中は、税理士による無料相談会なども各地で開催されているので、ぜひ活用してみましょう。
無料で相談できる窓口
確定申告の期限直前は相談窓口が大変混雑するため、できるだけ早めに準備を始め、余裕をもって相談しましょう。
税務署の電話相談
税務署の通常の電話相談は、平日8時30分から17時まで利用可能です。
さらに、確定申告期間中(2月16日から3月15日頃)には「確定申告電話相談センター」の設置や、一部の税務署では休日の相談窓口の開設もあります。
各ツールのサポート
- 国税庁: チャットボットで24時間対応
- 会計ソフト: チャットやメールでのサポート
税理士会の無料相談
税理士会は、確定申告期間中に無料の税務相談会を開催しています。各地域の税理士会館や公共施設などで、対面で具体的なアドバイスを受けることができます。
確定申告を乗り越えて、自信にしよう!
最初は不安だらけの確定申告も、適切なツールと準備があれば、子育ての合間でも十分に対応できます。
育児と仕事の両立で忙しい毎日ですが、ツールをうまく活用すれば、思ったより簡単に進められるはずです。「自分で確定申告ができた!」という達成感は、個人事業主としての大きな自信にもつながります。
子育てママが多く活躍するヤクルトレディも基本的には個人事事業主(※1)で、確定申告をすることで所得税の扶養控除におけるメリットを得ることができます。
東京ヤクルト販売では、個人事業主として働くヤクルトレディの確定申告を税理士法人が代理申告する制度を用意しています。代理申告は有料ですが、費用の半額を東京ヤクルト販売が助成しています!(※2)
事務作業の時間を取られたくない子育て中のママにとって、時短ができる嬉しいシステムです。
「短時間高収入が可能なヤクルトレディの仕事は気になるけれど、個人事業主になると必要な事務作業が心配…」という方も安心してお仕事を始めることができますね!
※1:一部雇用有
※2: ヤクルトレディ以外の収入がある方は別途追加費用がかかります。
子育てをしながら頑張るあなたの挑戦を、私たちも応援しています!
三好夏枝/Natsue Miyoshi
大阪経営クリニック株式会社 代表取締役
メーカーの新規事業開発部門でマーケティング・営業に従事。
出産を機に、キャリアや働き方を見つめなおし、不動産鑑定士の国家資格を取得。士業に転職するも、転職1年目と1歳児の育児、起業1年目の夫のサポートで、家庭と仕事の両立に苦心、限界を感じて新たな道を模索する。
その後、大阪経営クリニック株式会社を設立し、個人事業主や小規模事業者の売上アップ支援、ライティング業を軸に活動。「自分らしく輝く大人」を増やすことで、子どもたちが「大人になって働くことは楽しい」と将来に希望が持てる地域・社会づくりを目指している。