親子時間をもっと豊かにする絵本についてのコラムを4回に分けてお届けしています。
第1回目『絵本ってなぁに?』では、そもそも絵本とは何か、その役割と魅力を、そして第2回目は0・1・2歳のおすすめ『赤ちゃん絵本』の特徴についてお伝えしました。
3回目は『3・4・5歳~就学児の絵本について』お話していきます。
園児さんの発達と絵本について
まずは発達という側面から、この時期に手渡したい絵本にはどのようなものがあるのか、年齢別にみていきましょう。
3歳児(年少)さん
絵本を親や先生に読んでもらうことに楽しみを覚えたり、ストーリーのあるおはなしを実際の遊びの中に取り入れたりできるようになってきます。日本や外国の昔話なども味わえるようになります。
たとえばロングセラーの『ぐりとぐら』『三びきのやぎのがらがらどん』などは年少さんに人気のある絵本の一つです。
4歳児(年中)さん
図鑑が好きな子、ことばあそびの本が好きな子など好みもしっかり出てくる時期です。
おうちで一緒に読むなら行事絵本や科学絵本などもいいですね。
大人でも初めて知るような「目からウロコ!」の気づきに出あえ、新鮮です。
たとえば『十二支のはじまり』『びっくりまつぼっくり』などがおすすめです。
5歳児(年長)さん
絵本のはなしを「物語世界のはなし」として楽しめるようになってきます。
読解力もつき、ほかの人の意見を聞き、自分の考えをまとめたりできるようになってきます。
『いたずらきかんしゃちゅうちゅう』など少し長めのストーリーのものも手渡せる時期です。
就学児さん
小学校にあがると図書の時間があったり、図書室で本を自分で借りることができたりします。
学校によっては読書ボランティアさんによる読み聞かせの時間があったりと、「自分では選ばない絵本」との出会いも増えてくるでしょう。
中学年ごろになると児童文学へ興味がシフトする子も多いです。
対象年齢をどう考える?
さて、絵本の裏表紙などに「3歳から」など対象年齢が記載されていると「うちの子、3歳だけどこの絵本どうかな?」と悩むことはありませんか?
お子さんの発達には個人差がありますし、絵本への興味の深さもさまざまです。
対象年齢はあくまでも目安としてお考えいただいていいと思います。
数字にとらわれすぎず、子どもが強く興味を示しているかどうかなど直の反応を参考に選んでみてはいかがでしょう。
配本サービスを利用する
いくつかの代表的な出版社では毎月対象年齢に合わせた月刊誌を配本してくれるサービスを取り扱っています。
ハードカバーの本よりお求めやすく、自分では手に取らないような作品との出会いもあります。
わが家の体験からも、子どもにとっても「月に一回自分の本が届く」という経験は嬉しいようです。
園での取り扱いがない場合は最寄りの書店などでも取り次いでくれますので、興味のある方はたずねてみてもいいかもしれません。
このコラムでは、普段の生活のエッセンスとして絵本を取り入れてみようかな、と思ってもらえるような切り口で絵本の紹介をしています。
柴田 香/Kaori Shibata
子育て中の親子にとって、もっと気楽に楽しみながら絵本とつきあっていけるヒントになればと思います。
【プロフィール】
会社員/絵本専門士/NPOふくおか子どものこころサポート研究所
1978 年、熊本県生まれ。大学卒業後、地方放送局にてテレビ・ラジオの制作に携わったのち、結婚を機に退職。図書館司書としてキャリアを重ね、独立行政法人国立青少年教育振興機構認定 絵本専門士として福岡市初の認定を受ける。現在は会社員として勤務しながら主に九州エリアを中心に、未就学児とその保護者向けの絵本講座やイベント、選書、記事執筆などの活動を続ける。8歳男児・6歳女児の 2 児の現役ママ。