子どもが0歳のときからバリバリ働いているママもいれば、子どもが小さい間は専業主婦になるママも。
専業主婦のメリットは、ゆとりをもって育児できることですが、その間はどうしてもキャリアにブランクができてしまいます。また、子どもの成長に合わせて「そろそろ働こうかな…」と考えるタイミングが来るかもしれません。
このコラムでは「仕事を始めたいけど、自分には何のスキルも経験もない…」「ブランクがあるけどいずれ仕事復帰したい」と悩むママへ未経験の仕事にチャレンジする時のポイントについてお伝えします。
また、前回のコラムではフルタイム勤務とパートタイム勤務のメリット・デメリットについてもご紹介していますので、併せてご覧ください。
目次
ママが仕事を選ぶ時に大切なことは?
未経験の仕事にチャレンジするときには、誰しも不安を感じてしまうものです。また、経験がある仕事内容であっても、長期間のキャリアブランクがあると感覚を取り戻すための時間がかかるかもしれません。
子育てや家庭のための時間も確保したいママにとって、働く曜日や時間帯を好きに選べることは仕事選びのポイントになってきます。加えて、自分自身に経験やスキルがあり自信をもって取り組める仕事を選びたい!となると、希望を完璧に叶える仕事はなかなかありません。
そこで、仕事を選ぶ時に大切なのは「優先順位を決めること」です。仕事には、仕事内容、労働時間、働く時間帯・曜日、場所、給与、雇用形態など様々な条件がある中で、自分にとって大切なものを見極める必要があります。
本当に未経験? あなたにはスキルがない?
営業経験がある人なら営業の仕事を、経理経験のある人なら経理の仕事をスムーズにこなせます。また、語学力やプログラミングなど専門的知識がある方も即戦力になります。仕事に直結する知識やスキルを持っているからです。
ですが、上記に当てはまらなくても「自分にはスキルも経験もない」と感じる必要はありません。コミュニケーション能力やお客様のニーズを先読みする力、協調性、信頼性など、履歴書や職務経歴書には書ききれないスキルも非常に大切なのです。
きっちりとした評価尺度はありませんが、仕事を行う上で大切なスキルを『ソフトスキル』と呼びます。育児はソフトスキルの訓練の連続です。特に子どもが怪我や病気をしないように先回りするママの危機管理能力には目を見張るものがあります。ママならではのソフトスキルを活かせる仕事はたくさんあります。
「母親なら、そんなの当たり前。私だけに特別なスキルや経験があるわけじゃない」そんな風に思うかもしれません。しかし、これまでのあなたの経験は唯一無二のもの。直接的な関係がなくても、意外なところでママのスキルが仕事に役立つことがあるはずです。
失敗体験もキャリアになる!
今までの経験やスキルがどんな形でキャリアに活きるのかは、実際に仕事を始めてみないとわかりません。自分のスキルが新しい仕事に全く関係なさそうに見えても今まで培ってきた知識や経験は必ずいつか役に立つ時が来ます。
学校生活や、趣味、友人関係など、仕事に限定しなければたくさんの経験がありますよね。キャリアとは不思議なもので、全く関係なさそうに見えるこれらの経験が繋がる時があります。
例えば、婚活での失敗経験をもとに婚活アドバイザーになる、英語が苦手だったからこそ英語の効率的な学習法を教えられる先生になるなど、失敗体験すらキャリアの糧になるのです。
【キャリア経験談】理学部の経験が営業職に活きる
ここで、筆者の失敗体験がキャリアで役立ったエピソードをご紹介します。
筆者は大学では理学部に所属し、白衣姿で研究室に入り浸る理系オタクでした。ですが、就職活動が上手くいかず、研究職ではなく営業職としてキャリアをスタートしました。
営業をする人と、黙々と1人で作業しコンピューターソフトウェアを開発する人に求められるスキルは全く違うことは想像できますよね。両者は思考もコミュニケーション方法も異なるため、小さな誤解が生じる事が多々ありました。
元々理系オタクな筆者は、開発側の思考が理解できるため、プログラマーたちの発言を『翻訳』して営業側に伝えることができました。双方の思考やコミュニケーション方法を理解できる数少ない人間として部署間の橋渡しとなれたのです。思わぬところで過去の経験が役立ちました。
就職活動に失敗していなければ、こんな風に役立つ自分に出会うことはありませんでした。思い描いた理想とは異なる仕事でも真摯に向き合っていれば自分を活かせる場所を見つけることができます。
平凡に思えるスキルこそ役立つ!
今までの経験やスキルは、必ずしも仕事に直結するものではないかもしれません。ですがスキルを組みわせることでキャリアの可能性は広がり意外な形で無関係に見える知識や経験が役立つ時があります。
例えば、料理、英語、子育て、この3つは無関係に見えますよね。
- 料理が得意なら、料理の先生になる
- 英語が得意なら、英語の先生になる
- 子どもが好きなら、保育士になる
上記はすぐに想像できるスキルに直結する仕事。しかし、この3つのスキルを結びつけるとユニークな仕事に繋がります。例えば、「子ども向けに英語で料理を教える先生」です。
料理が得意な人、英語ができる人、子どもが好きな人はたくさんいます。けれど、この3つを持ち合わせている人は少ないです。平凡に見える経験やスキルであっても掛け合わせることによって特別な人材になり得ます。
【キャリア経験談】理学部・IT企業出身 × ファッションアドバイザー
筆者は、ファッションアドバイザーの仕事もしています。理学部出身でIT企業に勤めた人にとっては異色のキャリアです。
ファッションの仕事で必要なスキルや知識は、色彩情報・デザイン力・ファッションセンスなどが思い浮かぶと思います。科学や論理的思考は、ファッションとは一見無関係に見えますが、筆者はファッション業界の中ではちょっと変わったスタイルでファッションアドバイスをしています。
例えば「白と青の比率は3:7がオススメ」など数字を使って説明すると「分かりやすい!」「変わっていて面白い!」と言ってくださるお客様がいます。
化学研究やIT企業という私の経歴は、ファッションの仕事に直結するものではありませんが、組み合わせる事によって他者との差別化ができました。
無関係に見える知識や経験は、使い方次第であなたの味方になります。誰しも何かのスキルや経験という宝を持っています。それをどうキャリアで活かすかが大切で、仕事をしながらその活かし方を見つけてみてください!
未経験でもチャレンジしやすい仕事とは?
キャリアブランク後に仕事を再開するのはやっぱり勇気がいるもの。未経験領域ならなおさらです。
未経験でもおすすめなのは営業・物販の仕事です。この世に良い商品やサービスはたくさんあります。しかし、本当に必要な人に届いていないことも…。
商品の良さを伝えてくれる人が居なければ、消費者の元に商品は届きません。このギャップを埋めるのが営業・物販の仕事です。
商品メーカーが作った商品の存在を一般消費者や企業に知ってもらう・使ってもらう、そのための仕事が営業や物販です。いわばメーカーと消費者のメッセンジャーの役割を果たしています。
営業・物販のメリット① 新しいものを生み出す必要がない
企業のように新しい商品・サービスを生み出す必要がありません。
企業が渾身を込めて開発した商品には魅力が詰まっているため、あなた自身がアイディアを出すプレッシャーはありません。
営業・物販のメリット② ノウハウを習得しポータブルスキルが身につく
商品にはそれぞれ良さがありますが「誰にどんな風に何をアピールしたら心に刺さるのか」は異なります。会社の研修や経験が豊富な先輩にコツを教えてもらうと未経験でもスムーズに仕事が進められるでしょう。
営業の仕事で特に大切なのは対人スキル。普段から子どものニーズを読み取っているママならば、そう難しくはないはずです。
転職や別の職場であっても役立つスキルを『ポータブルスキル』と呼びます。営業ノウハウはこのポータブルスキルに当てはまり、別の職場でも活かせます。
ポータブルスキルがあると転職にも有利です。
共働きで、パパに転勤辞令が出た場合、仕事を辞めざるを得ないママも多数います。ポータブルスキルがあれば、パパの転勤先でも就職しやすくなり、単身赴任を避けることもできます。
「家族と一緒に暮らし、かつ仕事も続けたい」という方はポータブルスキルが身につくかを考えて仕事選びをするとよいでしょう。
まとめ
いかがでしたか?今までの経験やスキルは必ず役に立つ時があります。自分を活かせる場所を見つけることが重要です。
また、今回おすすめした営業職は、企業にとっても重要な人材ですが未経験でもOKという求人も多いのでチャレンジしやすいです。
誰でも最初は未経験。長期的なキャリア形成のためにも、まずは一歩踏み出して仕事をはじめてみましょう。
次回は2024年2月13日(火)公開予定です!お楽しみに。
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(文)川口 香織/Kaori Kawaguchi
1987年生まれ、東京都の下町出身。高校~大学院 6 年間の英国留学により、イギリスかぶれの江戸っ子となる。大学卒業後は 8 年間、外資系 IT 企業でカスタマーサポート・ユーザーサポート・法人営業などを担当。現在は独立し、キャリアコンサルタント・理系ファッションアドバイザー・講師・ライターとして幅広く活動中。三姉妹(8 歳・6 歳・0 歳)の母親でもある。趣味は着物、古代ローマ史、パズルゲーム。
著書:「類は友を呼ぶが異類はチャンスを呼ぶ: 目の前のチャンスを手に入れた私たち」「中学受験の闇(https://amzn.asia/d/7IWq2ud)」など