このコラムでは、結婚・出産という大きなライフイベントを経て、自分中心の時間も多く取れなくなった乳幼児を持つママへ、自分らしい未来を描くポイント、育児と仕事を笑顔で乗り切れるコツをお伝えしていきます。
第1回目は、この先のキャリアを考える時のポイントを3つ、お届けします。
乳幼児を持つママ必見! 自身の未来を描く3つのポイント
「復職が間近だけど、両立が心配」
「子どもを育てながら、会社の期待に添えるような仕事ができるかな」
「自分が満足いく、理想のキャリアを歩むことができるかな」
「そもそも、ブランクも長いのに新しい職に就けるのかな」
あなたはこういった様々な不安を抱えてはいませんか?
実は私は、娘を産んで半年で会社が破綻し、育児休暇中でしたが早期退職の道を余儀なくされました。子どもを持ちながらも復職し、キャリアスッテップを踏んでいくのだという強い決意が、思いもしない形で打ち砕かれました。
当初は心も沈み、お先真っ暗な気持ちでしたが、今では満足いくセカンドキャリアを送れています。
セカンドキャリアを築き始めた頃、私も上記のような不安に襲われた経験があります。それをどう乗り越え、自分らしいキャリアを描いたか。私の経験をもとに3つのポイントをお伝えします。
① まずは自分の思いを確かめる
乳幼児のママは毎日時間に追われ、自分のことは後回しになりがちですが、キャリアを踏んでステップアップを考えているならば、しっかり自分に向き合う時間、自分の思いを確かめる時間をとってみてください。
- どのような人生・キャリアをこの先歩んでいきたいか
1年・3年・5年スパンで考えてみるのもいいでしょう。遠い未来を描くより、この先1年2年3年をどう過ごしたいか、働きたいかを考えてみましょう。妻・母以外のどんな役割を持ちたいか、どんな女性でありたいかも考えてみましょう。 - 自分が夢中になれるものや自信を持ってできることは何か
今までのキャリアの棚卸し・自身の得意不得意含めて自己分析してみましょう。 - 何か手に入れたいものはあるのか
例えば、マイホーム・車・家電製品・定期的な海外旅行・ブランドバッグ・・・など具体的に挙げてみるとよいでしょう。
さらに以上のような内容を頭の中で考えているだけでなく、どんどんノートに書き出してみましょう。
すると、自分の思いが見える化でき、頭の中が整理整頓、自分の思い・考えもまとまってきます。自らの人生、働き方やキャリアへの思い、心から満足いく状態はどのようなものかが見えてきます。
『キャリアアンカー』を明確に
自分なりの価値観、譲れない条件、自分のコアコンピタンス(得意分野・能力)、叶えたい欲求、これらのことをキャリアアンカーと言いますが、これらがはっきりしてくると思います。
キャリアアンカーとは、アメリカ/マサチューセッツ工科大学ビジネススクールの組織心理学者であるエドガー・H・シャイン教授によって提唱されたキャリア理論の概念の言葉です。アンカーは日本語で錨(イカリ)という意味です。
自分を船に例えてみましょう。
そして、人生を航海に例えた場合、錨を海に投げ入れることによって強い潮目に流されてしまうことを防ぎ、安定した航海ができます。
もうお分かりでしょうが、キャリアアンカーは自分の働き方の軸・周囲が変化しても自身の内面の拠り所となるものです。長い長い人生の航海、キャリアアンカーがあれば自分軸をちゃんと持ちながら、安心安全な航海ができるのです。
まずは自分のキャリアアンカーを知りましょう!キャリアアンカーがはっきりすれば、満足度の高い働き方・キャリアステップが安心して踏めますね。
② 懸念点・リスクを洗い出す
自身が理想とする働き方・キャリアステップ、キャリアアンカーを明確にできたら、これを実現するための懸念点やリスクを書き出してみましょう。
たとえば
- 実務経験がまだ少ないから経験・実績を積むことが必要
- 〇〇資格を取得しないといけない
- 第2子ができても働き続けられるか
- 周囲の支援を得ないと、シフト勤務に対応できない
- 保育園探し
- 資金が足りない(開業資金や社会人生活を始めるにあたっての身の回り品にかかる費用など)・・・
など
以上のように様々な懸念点やリスクを顕在化してみましょう。
そして、その懸念点やリスクをどう回避できるか、手段はあるか、どう自分は動けばいいかを具体的に書き出します。
なお、この先は次のコラムでお伝えしますが、理想を叶えるマンダラチャート(目標達成シート)の出番です。次のコラム(2021年5月11日公開予定)をご参考にされてください。
③ パートナーに自分の理想の働き方・キャリアステップ、目標を伝える
自分がこの先どのようなキャリアを踏んでいきたいか、具体的にパートナーに伝えましょう。お子さんがある程度理解できる年齢の場合は、お子さんにも伝えることをおすすめします。
これは私も実際にとても有効的だと実感しました。
実は私はセカンドキャリアを築き上げ始めた当初、当時いわゆるイクメン・カジメンでもなかった夫に就職を反対されていたのです。一時期は無理に進めたことがたたり、夫婦仲が冷めたものになったこともあります。
そこで、これではいけないと、夫には自分の理想の働き方・キャリアステップ、人生の目標を伝え、それを叶えるためにはあなたの助けが必要だと伝えました。
どういうことに手助けをして欲しいと具体的に伝えると、夫も動けます。
私の目指すところ、思いを伝えたことにより、今までと違って私を応援してくれるようになりました。そして、コミュニケーションも増え夫婦仲も改善されたのです。
子どもにも同じことが有効です。
私も実際に我が子に伝えました。すると娘の行動が変わり、一気に自立が促され、一番の応援団になってくれていたようにも思います。
結果、頑張る母の姿、目標に立ち向かう姿を見せることができ、親子で良い経験になったと思っています。
是非、皆さんも自分の思い、理想、目標は口に出し家族に伝えてみましょう!そうすることにより、周囲はあなたの応援団になってくれます。そして、あなたも周囲に宣言したからには自然と意識し、行動が変わってくるのです。
そして、懸念点やリスクがある場合は、一人で何もかも手を尽くそうとせず、素直に家族に手を貸して欲しいと援助を求めましょう。そして、やってくれたら「ありがとう!」を言葉でしっかり伝えましょう。感謝の気持ちを伝えることで、家族の絆も深まりますよ。
以上、ママがこの先のキャリアを考える時の3つポイントをお伝えしました。
参考になれば大変うれしいです。
まずは自分の思いを確認することから始めてみてくださいね。
鵜飼 千登静/Chitose Ukai
キャリアコンサルタント/マナー接遇講師/キャリアファシリテーター/おもてなしファシリテーター
大学卒業後、日本航空に客室乗務員職として入社。国内線・国際線に乗務。8年在籍後はキャリア転換し、講師としてエアライン業界やホテル業界に夢を描く学生への支援・就職指導を始める。
現在はフリーランスで、国家資格キャリアコンサルタント×マナー接遇講師として、教育機関での講義(大学・専門学校)、企業研修、就職・キャリアアップ支援など人材育成をメインとする。
受講者一人ひとりの個性や現在の状況と課題に着眼し、受講者の向上心と自己効力感を高める指導・育成には定評がある。一人ひとりが自分の能力をうまく活用し、描く未来に近づけるようファシリテーターとしての役割で人を導く。
大阪市女性の活躍促進情報発信事業のサポートや、大阪府・大阪市・京都府の就業支援プロジェクトの講師実績もあり。